ヴェローナワイン
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラは、イタリア赤ワインの中で最も名高いワインの一つです。様々な料理に合わせたり、 くつろぎ楽しむワインとして、また、特別なイベントのワインとしても選ばれます。 アマローネをご存知ですか? 既にお好きな方も、より深くアマローネの魅力に触れることができます。 この特別なワインを生産しているイタリアのヴァルポリチェッラ。生産地ワインガイドがアマローネの素晴らしさを伝えます。何十年に渡り、 日々、生産地のブドウ畑の中を歩き、発酵・熟成するセラーに入り、数多くの個性豊かなワイナリーやヴィンテージから何百種類もの試飲してきまし た。 アマローネで、ご希望に合わせた素敵なワイナリーを訪問し、様々な銘柄やヴィンテージをテイスティングすることができます。 また、現地で購入されたワインを、ご自宅にお届けするお手伝いもさせて頂いております。
ワイナリー訪問
アマローネのセラーをヴァルポリチェッラのガイドと共に訪れ、特別な体験をし、生産地、歴史、伝統、食文化の全ての知識を得ることができます。
ワイナリーでアマローネをテイスティングしませんか。ワイン好きな大切な方へのプレゼントや記念日のイベントとしてもこのツアーは最適です。
ワイナリーにより、日曜日にもオープンしています。
ランチや宿泊の手配も可能で、ヴァルポリチェッラの地域とワインをとことん楽しみ、過ごすことが出来るワイナリーもございま す。
アパッシメント:アマローネの秘密
アマローネを特別なものにしているのは、アパッシメントという特殊な技術です。
甘口ワインを作るため、ブドウを乾燥させるのは一般的な方法です。このようなワインはパッシートと呼ばれ、近年では主流ではなくなりましたがイタリア全土で作
られています。
アマローネの産地であるヴァルポリチェッラでも、パッシートの1つとしてレチョートを生産しています。ローマ時代アウグストゥス皇帝が好んでいたと言われると
ても古いワインです。レチョートはアマローネの元祖です。しかし、アマローネは甘くありません。辛口ワインの製造に乾燥法を採用しているのは非常に珍しく、ア
マローネとスフォルツァート・デッ ラ・ヴァルテッリーナの2種類のみです。
アマローネの誕生
アマローネは1930年代にレチョートの醸造ミスで誕生したと言われています。
その時代、ヴィラ・ノヴァレ(現ヴィラ・モスコーニ・ベルターニ)のセラーではたらくアデリーノ・ルッケーゼは、甘いレチョートを瓶詰めする作業をしていた
が樽の1つを見落とし忘れてしまった。ワインは樽の中にそのまま数年間に渡り残され、忘れ去られました。
ある時、このワインが詰まった樽が発見され、ワインを腐らせてしまったのではとアデリーノは解雇されることを恐れた。彼は醸造家のガエターノ・ダッローラを呼
び、一緒に試飲をしたところ二人は驚き、アデリーノは安堵したのだった。その味は、しっかりとしたボディ力強さを感じ、更に上品な微かな甘さと滑らかさ
を持ち
合わせていた。樽の中でゆっくりと時間をかけて発酵を続け、糖分がアルコールへと変化し、それはもはや甘すぎず、!!!まさにこの理由からアマローネと呼ばれ、非常に苦い
のです。
ラベルにアマローネと記された最初のボトルは、1936年に市場に登場しました。
それ以降、この醸造ミスのような生産方法がヴァルポリチェッラに広まり今日に至ります。
アマローネは長い間「レチョート・アマーロ」や「レチョート・アマローネ」と表記されていましたが、現在ではアマローネのみで表記されています。国際市場
で知 られ高い評価を得て、固有名称を確立しました。
レチョートは今でも少量生産されています。
ブドウ品種とブレンド
レチョート、アマローネ、そしてすべてのヴァルポリチェッラDOCワインは、すべて数種の土着品種をブレンドして造られています。
ヴァルポリチェッラ地域のみで栽培されており、2000年以上続くワイン生産の歴史の中でこの地に最も適した品種が選ばれています。
アマローネの主なブドウは、コルヴィーナ、コルヴィノーネ、ロンディネラです。その割合はコルヴィーナとコルヴィノーネを合わせたもの45〜95%、ロンディ
ネラは5〜30%でなければなりません。また、アマローネの製造には畑の総ブドウ量の40%以内しか使用できません。
モリナーラ、オゼレッタ、ディンダレッラ、ネグラーラ、ペラーラ、スピガモンティなどの他の地元産のブドウ品種を、 少量加えることもあります。
近年、アマローネの生産者の間では、オゼレッタ種のブドウの人気が高まっています。オゼレッタの房は小ぶりで実が小さく、タンニンやポリフェノールが豊富な
分厚い皮が特徴です。アマローネのブレンドに少量加えることで、濃い色、しっかりとした構造、豊富なアロマが作られます。
オゼレッタは実の量少なく、小ぶりな房な為あまり栽培されていませんでしたが、近年このような理由により人気があります。
ブドウの収穫と乾燥(アパッシメント)
アマローネの製法は、収穫直後から特別です。どの品質のワインにおいても、ブドウは糖度とポリフェノールの熟成度が適切なレベルで収穫され、房には欠陥
や腐敗があってはならない。
しかし、まだこれではアマローネになる条件を満たさず、アマローネ用のブドウの選別には更に、非常に厳しいものがあります。房は大き
すぎてはならず、何よりも
実が程良く分散していなければなりません。実と実の間に茎が見えるようなゆったりとしたつき方をした房を選ばなければならないのです。では、実際の乾燥工程に沿って理由を
簡単に説明しま しょう。
選別されたブドウは、木箱やプラスチックの箱に丁寧に入れられ、ワイナリーに運ばれます。けれども、まだ潰すには早いのです。逆に、この段階ではブドウを潰さ
ないこと、実が裂けないことが非常に重要です。もし、果汁が空気に触れてしまうと発酵や腐敗が始まり、乾燥工程に支障をきたし、ア
マローネの品質を損なうことになります。
フルッタイ(ブドウ乾燥部屋)
ブドウの入った箱はワイナリーに運ばれ、フルッタイと呼ばれる大きな乾燥させる為の部屋に積み上げられます。通常は農家の屋根下や、ワイナリーやブ ドウ畑
近くに建てられた特別な建物の中にあります。
また現在でも、一部のワイナリーでは昔ながら植物のアシなどで作られた棚を使用して乾燥させています。
また、近年では湿度、温度、換気を自動調整する技術が進み、システム化されたフルッタイを取り入れられているワイナリーもあります。
ブドウはその後3ヶ月間、フルッタイで保管されます。これがアパッシメントというブドウの乾燥方法です。房を広げ並べなければブドウ周りの空気の循環が悪く
なり、湿気でカビ や腐敗が 発生する可能性があります。
このような事から、アマローネのブドウの収穫は、正しいブドウの選別知識を持つ専門の作業員が迅速に行わなければなりません。間違った房を選ぶとワインの品質
だ けでなく、生産そのものが損なわれる可能性があります。
乾燥期間終了時のアマローネのブドウは、水分の無いドライレーズンのように見えます。しかし3ヶ月間乾燥させることで房の水分は30~40%のみ減り、糖分が
濃縮されるのです。
また、乾燥させることでブドウに特別な香りが加わります。
乾燥期間を終えた頃には、ドライレズーンのように見えますが、実はワインを生み出す十分な果汁がまだあるのです。一方、乾燥させ過ぎた場合は発酵ができずワイ
ンを製造出来ません。気温も重要で、その年により気温の高い秋には12月上旬に圧搾作業を行い、乾燥時間を短縮して調整しています。
果実の並べ置かれたセラーに入り、乾燥したブドウの香りとアロマが充満した魅惑的な空気を嗅ぐことは、アマローネを生産しているワイナリーを訪れた際に最も刺
激的で感動的な時でしょう。 この特別な体験をするには、10月上旬〜12月中旬の期間にヴァルポリチェッラを訪れると良いでしょう。
おすすめの様々な特徴を持つ美しいセラーが沢山あります。例えば、ヴィラ・モスコーニ・ベルターニやセレゴ・アリギエーリのような伝統的なものや、トンマージ
の ように広大なもの、アレ グリーニ、マージ、ダル・フォルノのような近代的で新しい技術を取り入れたものなどがあります。
発酵
発酵は一年で最も寒い冬の時期に行われます。以前は1月中旬頃でしたが、今では11月末や12月中旬に行うことが多くなってきました。低温で糖分が多く含
まれているため、酵母の働きは非常に鈍く、ゆっくりとしたものになっています。完全発酵には40~60日かかります。一般的には、秋に新鮮なブドウからワイン
を造るには10~14日程度で行います。ゆっくりと発酵させることで、ブドウのすべてのアロマを保持することができます。
製造規定では、アルコール度数は14度以上でなければならないとされています。ですが、現在では15度以下のアマローネを見つけることはほぼ不可能で、16度
前後のも のがほとんどです。また、中には17度に達するものもあります。
熟成
発酵が完了したとしても、まだアマローネの完成とはいきません。 この後、成熟期に移行しなければならないのです。ヴァルポリチェッラの全ての生産者は、アマローネの
DOCG(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)、イタリアワインの
4段階ある格付けで最上位の等級
のラベルを使用する場合、厳格な規則に従わなければなりません。そのため、アマローネは瓶詰めされ市場に出回るまでに最低でも2年は熟成させなければ
なりません。
ほとんどのワイナリーでは、アマローネはオーク樽で熟成されています。木の種類や形、大きさなど、幾つかのタイプを組み合わせたりセラーにより様々です。
アマローネの熟成には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
ひとつは、小樽があります。225リットルのバリック、または500~600リットルのトノーで、通常はフレンチオークで内部を焼いたものを使用しま
す。これらのサイズは熟成
が早く、2~3年後にはアマローネが完成します。年代やトーストの度合いによって香り、風味の強さが変わります。天然木がバニラ、コーヒー、ココア、スモークなどの香りを
与えてくれます。ワイナ
リーによりロースト具合とその組み合わせは様々です。、アレグリーニはバリックを最初の取り入れたワイナリーの一つです。その他、小樽を好むワイナリーには、ダル・フォル
ノ、フェラ グー、フラテッリ・ヴォガドーリなどがあります。
また、ヴァルポリチェッラで最も典型的なのは25ヘクトリットルですが、18ヘクトリットル〜100ヘクトリットル以上の大樽を使用する生産者がいます。これ
らの多くは、スラヴォニア(東ヨーロッパ)を中心としたバルカン産のオーク材を使用しています。
大樽でのアマローネの熟成はさらに遅く、平均5~6年です。アマローネ・リゼルヴァの中には、10年になるものもあります。
スラヴォニア・オークは、ワインに独特のアロマを加えることはありませんが、その自然な質を高めてくれます。
大樽で長期熟成を行う生産者には、クインタレッリ、 ベルターニ、メローニ、ヴィッラ・スピノーザなどがあります。
ヴァルポリチェッラのワインセラーでは、世界最大級のワイン樽を見ることができます。
種類
アカシア、栗(G.B.ベルターニ)、チェリー(セレゴ・アリギエリ)など、通常のオーク以外の木を使って試すワイナリーもあります。チェッ キーニ
レオナルドは、アマローネをスチールタンクのみで2年間熟成させ、フルーティーさを高めています。最近ではテラコッタ(ミッゾン)や大理石の瓶(ミュゼッラ)などで新た
な挑戦をしている ワイナリーもあります。
アマローネは瓶詰め前に2年以上熟成させる必要がありますが、どのような容器に入れるかは定められていません。
アマローネは特別なのです
これだけの時間と手間をかけて生み出されるアマローネ、価値あるワインであることを知っていただけましたか。イタリアワインには手頃な価格でも非常に多くの優れたワイン があります。そんな中、アマローネは決してお手軽ではありません。ですが、楽しみ、くつろぎ、 特別な日に色を添えてくれるようなワインです。
アマローネのペアリング
アマローネとの相性が良いものとしては、ワインの力強さとバランスの良い濃厚なチーズやつまみ、料理などと合わせるのが良いでしょう。例えば肉のグリルや煮込み、ロースト肉、スパイシーな薬味を使用した料理、熟成させたチーズなどもいいでしょう。
また上質な脂と旨味を多く含む和牛とアマローネのペアリングも最高です。
欧米では、ジビエ料理、ラム肉、トリュフなどもよく進められています。というのも、このような濃厚でしっかりした味の食べ物とアマローネのようなアルコールとエレガントなタンニンがあるワインを合わせることで口に含んだ後の食事を引き立てるのです。